「鵜飼町666──水田ふう・向井孝の書棚」は水田ふう・向井孝が遺した、ふたりの手になる印刷物と、未知の仲間との接点をつくることを目的として開設されました。 第一弾として、ウリ-ジャパン機関紙「非暴力直接行動」全号を掲載します。 以降、第二弾、第三弾として、水田ふう個人通信「風」、向井孝個人通信「IOM」の掲載予定しています。  毎月6日に更新します

WRI Japan News Letter 12号 別紙

  • 鈴木国男さんの友人として

こんなお手紙差げる失礼おゆるし下さい。突然ですが去る3月16日大阪拘置所の保護房内で鈴木国男さん(33才)が変死した事件をご存知でしょうか。云うまでもなく拘置所は、未決囚に対して虐待を行ったり、まして人を殺すところでないことは、ご存知のことと思います。 このことからして、どのような理由があれ、拘置所内で、未決の人間が死んだという事実に対して。まず何より業務上の大きなあやまちであることを認め、その責任を拘置所全体として。また、そのような体制の一部を担っている個人として、どのようにとらねばならないかを考えるのが当然のことと思います。まして死んだのではなく殺されたとしか云いようのない十数か所の打撲傷・挫傷があり、死因については一切知らぬ存ぜぬーという態度は、いかに我身かわいさとは云え、良心のかけらもない非人道的いなおりとしか思えません。そして、あなたのご主人もまた、大阪拘置所職員と一体となった真相のつつみかくしの一端をになって、殺人の共犯者と同じ立場をとっておられます。 そのことについて奥様はどうお考えになりますか。 いままでも、このような事件は何どか起り、その都度、今回のように闇におし流されてきたのにちがいありません。そしてそれは、死者が出るの如何にかかわらず、今日も明日も取扱い方において同じようなことが行われていることを明らかにしています。 鈴木さんの死はもはやどのようにしても取り返せません。しかし今回のことを契機にして、大阪拘置所のなかに大きな反省と共に、「その罪をにくんで人を憎まず」のことわざ通り、真に人間的な処遇が行われるようになればーと願わずにはおれません。そのためには、あなたのご主人が意識するとしないとにかかわらず、ともすれば職権乱用こそが特権とばかり、密室ともいえる場所で権力をカサに、全く力を奪われた人間に対する非道を行ったり、それをみのがしている、というやり方を考えて頂かねばなりません。 奥様 あなたは、このような事実は、うちの主人にかぎってないと信じておられるでしょう。とすれば、なぜ鈴木国男さんのようなことが起るのか、ぜひ一度ご主人におたずね下さいませんか。 私たちは、死んでなおうかばれない鈴木さんの友人として、このことを、奥様のやさしい人間的良心に訴えて、お願いする次第です。 鈴木国男さんの友人としてー水田ふう

追伸 大阪拘置所の説明によると遺体に残る十数か所の外傷は、自損行為によるとしか考えられないとのことです。しかしケガをしないように全面ラバーが張ってあり、突起物もない「保護房」の中でどうしてこれだけの傷が起り得るでしょうか。御主人に説明を伺ってみてください。